新美術館

Neues Museum

[photo:Neues Museum]
名称
新美術館
Neues Museum
New Museum
設計
Volker Staab
竣工
2000年
用途
美術館
場所
Nürnberg, Germany
訪問日
カメラ
Canon IXY DIGITAL 60

古都ニュルンベルクにある、現代美術とデザインを扱う美術館。正式名称は "新美術館 -芸術とデザインのための国立美術館 in ニュルンベルク" (Neues Museum - Staatliches Museum für Kunst und Design in Nürnberg)。国立の現代美術&デザインコレクション die Neue Sammlungの一。

古い街並みの面影を残す城壁内のニュルンベルク中心市街地に位置し、一面は閑静な広場、一面は繁華街街路と接している。

広場に面した美術館正面は一面のガラス張りである。美術館内外の視線を繋げ、美術館内の展示の一部を外部からでも鑑賞することすら可能にする。またこのガラス面は日中、遠方から見ると周囲の風景を映し込みカメレオンのように周辺にとけ込む。

街路に面した北面は近隣建築とファサードの調子を合わせ、また地上階には新美術館のブックショップの入口があることから、一見しただけではその一面ガラス張りの現代美術館であることを意識させない。また、周辺建築に比べ間口の広い美術館のボリュームを2つに分ることで街路の調子も整え、特に向かって右側のファサードは新美術館の右隣に従来からあった建築のものと酷似している。

プランは地上3階地下1階。地上階は展示フロア・受付・クローク・ブックストア等、2-3階は展示フロアとなっている。入口から入ると1階から3階まで突抜ける吹き抜けが広がり、それらのフロアを繋ぐ現代美術館らしい大振りだがミニマルな螺旋階段が空間を特徴付ける。この螺旋階段は上下移動の際にはメインで利用することになる。展示空間はあまり奇をてらわず、明るく白一色で同一フロア内はフラットにつながれている。

所感

ミュンヘンのピナコテーク・デア・モデルネを手がける(?)die Neue Sammlungの新館がニュルンベルクにできたという記事をどっかの雑誌で見て以来、ずっと行ってみたかった美術館。なので元々はどちらかというと建築的興味というより現代美術的興味だった。

今回ドイツをまわる機会を得たので今こそその時と意気揚々と旅程にニュルンベルクを組み込んだのだが、いざ旅程を組み宿を取ってからその件の美術館の場所を調べよとしたら、どこにもそれが載っていない。おぼろげな記憶から辿ったせいもあるが、観光ガイドでも、ニュルンベルク市のサイトをはじめとするwebサイトでもそれを見つけることができなかった。そんなはずは……と思いつつも結局「私の脳内美術館だった」という結論に達し「まぁ、Nürnbergは古都だし(初ニュルンベルクになる同行者の)観光には良いか」とニュルンベルクは観光訪問と割り切っていた。しかし、いざニュルンベルクに行ってみたらやっぱりそこに現代美術館はあった。市街をふらふらしてたらいきなり目の前に現れる一面ガラス張りの建物。なんだ、やっぱりあるんじゃないか。

まず、目に入るのは一面のガラス張りとそれを通して見える中の美術作品。もちろん総ての作品が見えるわけではないが、外から既に見えてしまうのが良い。単純に言えば太っ腹感を感じるし、外部に対する広告効果や美術作品に対する公共性も感じる。

日が暮れてから広場へ行くと、さらに美術館内の様子がよく見える。元々広場にあまり人がいないせいもあり、散歩がてらといった感じでゆっくり内部の作品を見ることができる。

内部から見てもこの一面のガラス張りは明るく開放的であり、光の扱いが厳重になるクラシック美術ではやりづらい利点である。訪問日は晴れていたが、大雨などでもそれはそれで情緒が合って良いのではないかと思う。

翻って、展示空間は白を基調とした素直なものだ。

美術館を入った吹き抜けにある螺旋階段がとにかく美しい。広いガラス窓を伴った開放的な吹き抜けの隅にちょこんとたたずんでいる。若干グレーがかったガラスと華奢な黒枠が、白い館内を引き締めつつもシャープな軽やかさを保つ。スケールも、仰々しくなく、かといって小振りすぎずちょうど良い。さらに、実際にこの螺旋階段を登ると(鑑賞の際はほぼ必ずこの螺旋階段を使用することになる)、徐々に上がりながら旋回することで美術館内とガラス越しの広場を向後に見渡すことになる。この視線の移動がたのしい。段差が一定テンポで無粋な折り返し部分がないことで、周りを見ることに集中できるのも螺旋階段の利点だと感じた。訪問時、螺旋階段の内側に赤い薔薇の花びらが散らしてあったのだが、これは特設であろうか?

街路面のとなりの建物そっくりのファサードも面白い。街路側に面し、街路からはさも普通の店舗のように見えるミュージアム・ショップは、街路からアクセスした際それが "ミュージアム"・ショップであることを忘れさせ、市街の一店舗として機能する。

また、些細な点だが、街路から広場へ向かう美術館前の通路はかなり幅が狭く、広場から街路に向かうにつれ幅が絞られる。それに呼応し、美術館内部の開放空間も街路に向かうにつれ絞られるのも面白い。

ガラス張りで展示作品を見せたり、ミュージアム・ショップを通常の店舗のように見せるなど、接する外部空間の用途や状態を考慮しつつ、それぞれが外部との関係性を考えて設計されているのが素晴らしい。

外観はさりげなく展示空間もシンプルなので、さもすれば余り印象に残らないかもしれないが、伝統的風景を重視するニュルンベルク市の周辺への景観配慮・外部に対するオープン性・また内部の美術館としての素直さは特筆に値する。特に周辺と美術館との呼応、美術館らしく視線に対する細かい配慮が見られる。

モダンな外観で現代美術館であることを主張しながら街にとけ込む新美術館は、ウルムのシュタットハウスが現代建築をもって景観に物議を醸し出したことと対峙し、興味深い。

美術館としては決して大きい方には入らないが、現代美術館としてはかなりの佳作だと感じた。外観においても興味深い点が多い。かなりの好印象。

写真

外観

内観

周辺

アクセス

Klarissenplatz 5, 90402 Nürnberg, Germany

ニュルンベルク中央駅から徒歩5分。中央駅から城壁をくぐり左(西)へ。'職人広場' の先、城壁沿いの広場前。

開場時間
10:00-20:00 (土日 -18:00)
休館日
月曜
入場料
4€ / 割引3€

# 2006年11月時点

建築家

Volker Staab (1957-)
[フォルカー・シュターブ] ドイツ、ハイデルベルク出身の建築家。
Wikipedia -Volker Staab
公式サイト -Volker Staab

これらの情報は1024jpの訪問時、またはページ執筆時の独自調査に基づくものであり、情報の確実性・信頼性を保証するものではありません。