ONE -Venus of Rock-
2006年11月リリース
Published on
ONE -Venus of Rock-
- メディア
- CD
- リリース
- レコード会社
- 東芝EMI
- オリコン最高順位
- 16位
- 参考
- 公式データ
- Wikipedia
- 愛を惜しみなく
- 天河の舟
- 春の嵐
- Innocent Love (Album Mix)
- ONE LOVE
- 夢のチカラ '06
- Change
- Shout
- 100億のLove Story (Album Mix)
- ONE (Album Mix)
ファンタジック・プログレ・コーラス、そしてキャッチーさ、と2000年以降のALFEE的ロックが十分に発揮された、ストレートな作品が多い23枚目のオリジナルアルバム。
DVD付きの初回限定版、通常版、デカジャケ版(30x30cmのアナログLPサイズのケース, 中身はCD)の計3パターンのヴァージョンが発売された。初回限定版には「Innocent Love」と「Flower Revolution」の2曲のスタジオライブが入ったDVDが付いてくる。サービスというよりも、このアルバム辺りから、本編内容が同一の数パターンのパッケージをリリースすることは歌謡曲界の宿命になってしまっている。
現在では紙ジャケにパッケージされたより高音質なSHM-CD版も出ている。
総評
アルバム全体を通して楽曲にかなりのトーン的統一感を感じ好印象である。直球のALFEE的ロックでやりたいことをやっていて抜けている感じがする。かなりライヴを意識しているだろう。いやむしろかライヴのことだけ考えて作ってそうである。ここ数年の中でも洋ロック志向が強いが、のってるメロと歌詞が歌謡曲なのがALFEEらしく愉快である。癖がなく、ALFEEらしいアルバムである。
それまでにリリースされたシングル曲をオリジナルアルバムに入れるのはある程度仕方ないように思うが、アルバムの最後に無理矢理入れたように『100億のLove Story』の2曲が詰め込まれているのが気になる。アルバム全体の構成を考えるとイマイチに思う。切り離して考えるべきか。
最後にアルバムタイトルであるが、男ばかりのこのバンドで、なにが「Venus of Rock」なのかは全然わからない。『ONE』だけだと一般名詞過ぎるから付加的に足したのかとも思うが、ONEだけの方がシンプルでこのアルバムの趣旨もよく表しており良かっただろうに。おかげでジャケットもよくわからない自由の女神的写真になってしまいコンセプトがブレてしまっている。
デザイン評
ジャケット/ケース
通常版のジャケットは近年のALFEEにしてはなかなか好印象なのだが、上の総評でも少し書いたが致命的なことにアルバム内の曲のイメージとは全く合致しない。
また、一段と意味がわからない初回限定版のジャケットに関しては、個人的にあまりにも不満なので、リリース時こんな企画をBlog上でやった。
曲評
1. 愛を惜しみなく
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 高見沢
高見沢が得意な、プログレめいた大げさなくらい雄大なラブソングだが、いかんせんメインの高見沢ヴォーカルが酷い。アルバムの1曲目としてはいかがなものか。いや、1曲目ではなかったとしてもこれでは困るが。曲やアレンジそのものは近年のALFEEらしく比較的良い。桜井Vo.の方が合っていたのではなかろうか?
2. 天河の舟
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 坂崎
まぁまぁ。乾いた坂崎のアコースティックギターを主軸とした比較的音数の少なさは "天河の舟感" がとても良く出ている。
Cメロの時には荒波に挑む 古い水夫の知恵で
は「LOVE」の夜空の星を集めて〜
と全く同じメロだと思うのだろうがいかがなものか。
3. 春の嵐
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 桜井
ALFEE的だがイヤじゃない派手さで華があってとても良い。本アルバムで一番推したい。少々文学調な詞に桜井の抑揚たっぷりのヴォーカルが合う。タイトルの「春の嵐」のとおりの風情のある荒々しさで曲全体として完成されている。
4. Innocent Love (Album Mix)
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 桜井
先行してリリースされたシングルのアルバム版。色々なタイプの曲を作れるバンドだろうに、なぜシングル曲となるとこう判で押したように同じ曲調になってしまうのか。
5. ONE LOVE
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 坂崎
坂崎が得意とする少しダークな雰囲気がとても良い。サビはALFEEらしい3声コーラス。1コーラス目がBメロで終わるところが個人的に好き。せっかくの世界観なのにサビの詞が前向きなのがあまり合ってないように思えて残念。
6. 夢のチカラ '06
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 高見沢
2005年に上戸彩に提供した同名曲のセルフカバー。ALFEE版は高見沢がヴォーカルをとり、南米の民族楽器を取り入れた哀愁のあるアンデス風なアレンジとなっている。高見沢の歌い方も丁寧で良いカバーだと思う。
7. Change
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 桜井
最近たまに出てくるポップなロック。前作の「戦場のギタリスト」に雰囲気がとても似ている。だが、今回はメインヴォーカルが桜井なのでまたひと味違う。重すぎず軽すぎないクリアな歌い方はさすがALFEEの看板ヴォーカリスト。桜井にしては全体的にキーが高いのだが歌いこなしている。詞もファンタジックな詞が多い高見沢にしては珍しく都会の日常を歌っているが、無理がなく良い。曲調と共に安定したヴォーカル・アレンジで聴きやすい1曲。
8. Shout
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE with 本田優一郎
- メイン・ヴォーカル
- 坂崎
引っかかりのあるような譜割りが面白い。詞もダジャレ的な韻の踏み方だったり口語的だったり『GLINT BEAT』以降の軽さがある。もっと言うと森雪之丞的である。「Change」に比べるとこちらはムリがあるのだが、ここ数作でたまに顔を出すこういう変なトライアル精神は買いたい。むしろ、これはもう高見沢詞の新しいヴァリエーションの1つなのかもしれない。
今アルバム初聴時に一番気になった歌詞がこの曲のあの夏の 少年A 初恋の味 少女B
。どうしても最初「Crisis Game」の(ネガティヴな)少年A
が浮かんでしまうが、そっから落とされるギャップが心をつかむ。
この曲も安定している。間奏のHey!
コールはライブを意識したものだろうが、スタジオアルバムに含めるには少々蛇足か。
9. 100億のLove Story (Album Mix)
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE with 本田優一郎
- メイン・ヴォーカル
- 高見沢
曲そのものは特筆することも特にない甘ったるいラブバラードだが、ABメロでの高見沢の優しい低音は良い。Album Mixは何が違うのかよくわからない。「Innocent Love」同じく、というか毎度のことだが、このくらいなら無理に変えない方がむしろ良いと思うのに。
10. ONE (Album Mix)
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 桜井・坂崎・高見沢
惰性の大阪国際女子マラソン用応援ソング。シングル『100億のLove Story』の2曲目。ヴォーカルはサビ以外が桜井→坂崎→高見沢でスイッチしていくリレー方式。量産されすぎているが故にALFEEの中で嫌いなタイプの曲なので何とも言いがたい。ただ、おだやかにアルバム全体を終えるのには悪くないのかもしれない。『夢幻の果てに』が「悲しみの泉」で終わったのを思い出す。