örb
1999年9月リリース
Published on
örb
- メディア
- CD
- リリース
- レコード会社
- 東芝EMI
- オリコン最高順位
- 6位
- 参考
- 公式データ
- Wikipedia
- Hysteric Psychedelic ∞
- Dark Side Meditation
- Justice For True Love
- 晴れ後時々流星
- AUBE〜新しい夜明け
- Wings of Freedom
- D.D.D! 〜Happy 65th Anniversary for Donald Duck〜
- From The Past To The Future
- The Way
- 希望の鐘が鳴る朝に
bonus disc; 初回限定
- A.D.1999 (örb version)
- Moonlight Fairy> (örb version)
- Decadence (örb version)
THE ALFEE 25周年記念ALBUM。今までの歴史を振り返りつつ未来を見つめるアルバムとなっている。"時間の魔法" という言葉を強調しており、M-3, M-4の歌詞にもその言葉が入っている。それ以外の曲も時の流れを意識した歌詞が多い。
音楽的なコンセプト縛りはあまりない。
タイトルのoにつくウムラオト(点々)は「飾り」らしい(飾りって…)。もちろんドイツ語に "örb" なんていう単語はない。このörbは英語のorbである。
本当は9揃いの1999年9月9日に出したかったらしいが間に合わず29日に。
初回プレスは特殊仕様ボーナスCDがおまけで、通常版だとボーナスCDがなくなる代わりにALFEE仕様のエルメススカーフの柄がジャケット。ボーナスCDに入ってる曲は全て今までの曲の別バージョン。
総評
様々なタイプの曲があり、よく言えば "バラエティー豊か"、悪くいうと "統一感がない"。と、いうよりこの「統一感がない」というのは色々なタイプがあるのとは別問題かもしれない。どうも『Nouvelle Vague』の続編というか、焼き直しというか、そういう印象のある曲が多いのはいなめない。
"過去から未来へ"、というコンセプト自体は悪くない。
しかし、M-8.From The Past To The Future というALFEE至上でもかなり良いこの曲が入っているだけでこのALBUMの価値はあるかもしれない。
デザイン的には、ジャケットは初回版・通常版共になかなか良いがそれに力と財力を注ぎすぎたのかそれ以外が非常におろそかになっている。
初回特典のボーナスCDはデザイン的には非常に良いが、中に入っている楽曲はお得感が低い。どうせre-mixするなら徹底的に違う曲に仕立てて欲しい。
デザイン評
ジャケット
通常版のジャケットはエルメススカーフ。エルメスがALFEE仕様のスカーフを作ったことの是非やジャケットが "エルメスの" スカーフだということは置いておいて、結果的にCDジャケットとしては良いと思う。流石配色がキレイ。初回版と色が揃っているのは偶然か。
ブックレット側の黄色い方は手抜きに見える。
ブックレット
見開き2ページごとにデザインを変え、収拾がついていない。故に総合点は低い。ブックレット表紙もジャケット表に合っていない。
「AUBE」の両ページと「From The Past To The Future」「The Way」のページはキレイ。全部こうすれば良かったんだ。
あと、何故か高見沢だけ2つ写真がある。別にバイク乗らないだろうにバイクと一緒に写ってるのが気に入らない。
ディスク
初回のボーナスCDに力を注いだためか肝心の本編CDはおろそかに。あのトーンな水色はあんまりだ。とてもオリジナルアルバムのディスクとは思えない。
初回版
通常版との相違点はボーナスCD・ジャケット・ケース。またボーナスCD分のブックレット。
ボーナスCD "ニューマキシエイト仕様" はとてもキレイでカッコ良い。これはイイ。配色も良いし、下に敷いてある紙と合わせて構図もなかなかだ。タイトル・コンセプトも良く表している。
ケースは1枚用の厚さのモノに2枚入って、その内1枚が外から見えるようになってるヤツ。せっかくボーナスCDが豪華だからそれを強調するこの作りは正解でだろう。ただ、ケースが普通の開け方と逆で開け辛い。それと背表紙がないのは並べた時にわからないのでアクセシビリティーの点ではマイナス点。
曲評
1. Hysteric Psychedelic ∞
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 高見沢
デジロック。高見沢ヴォーカル。タイトルの読みは "Hysteric Psychedelic Furute"。歌詞にもコンピュータ用語が目立つ高見沢らしい曲。打ち込みを多用するデジタルな雰囲気の中に光るアコースティックギターの使い方が効果的。
カッコいい。イントロの入り方、そして最後の方のエレキとアコギの掛け合いが素晴らしい。この曲の主役は坂崎によるアコースティックギターかもしれない。
2. Dark Side Meditation
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE with 井上 鑑
- メイン・ヴォーカル
- 坂崎
ガッタガタのプログレ風変拍子で始まり、静かな坂崎のヴォーカルで入るトリッキーなイントロ。
ガタガタなイントロ・間奏は良いのだが、歌部分はどうも煮え切らない。
3. Justice For True Love (album version)
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 桜井
シングル曲。映画「金田一少年の事件簿2 殺戮のディープブルー」の主題歌。いかにもシングル曲なALFEEの王道っぽい曲。
間奏は高見沢の大好きなライトハンド。アルバムver.とシングルver.の違いは、おそらくしっぽに高見沢のソロギターが付け加えられたくらいのもの。
最初の偶然〜
という入りがなんか好き。
4. 晴れ後時々流星
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 坂崎
坂崎ヴォーカル。12弦ギターの太い音。
タイトルが美しい。
5. AUBE 〜新しい夜明け
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 高見沢
プログレロックオペラ。前作ALBUM『Nouvelle Vague』のタイトルチューン「Nouvelle Vague」みたいな役。焼き直し的にも見える。決定的に違う点は、「Nouvelle Vague」はメッセージソング、対する「AUBE」はラヴソングである。残念ながら「Nouvelle Vague」の方が遥かに名曲であると思う。
スケールがやたら大きかったり、星の名が色々でてきたり、歌詞がモロ高見沢。サビが頂けない、歌い方も含め。高見沢ヴォーカルの悪い面がモロに出ている。
タイトルの "aube" という単語は通常版CDのジャケットにもなっているエルメスのスカーフの名前、同じく "AUBE" から取っている。また、「AUBE」はフランス語で "朝日、夜明け" といった意味があり、アルバムタイトルの「orb」(こちらは英語、音は同じ)の"球体、地球"と対になってる。こういったタイトルの小細工は粋だ。
6. Wings of Freedom (album version)
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 桜井
元横浜フリューゲルス、現横浜FCのために作ったオフィシャルチームソング。スポンサーの関係でJリーグ落ちし、再帰を懸けていた横浜FCを応援する歌である。
限定で発売されたSINGLE版も存在する(一般CD流通には乗らなかった)。album versionは最初の横浜FCコールが削られている。
スポーツ観戦嫌いの私にとっては何とも言いがたい曲である。
ALFEEはフリューゲルスのオフィシャルチームソング(「Victory」1993年)も手がけている。
7. D.D.D! 〜Happy 65th Anniversary for Donald Duck〜
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE with 河野圭
- メイン・ヴォーカル
- 高見沢
今までの「7曲目=ハードロック」の公式をうち破るダンスミュージック。ドナルド(@Disney)の世界初オフィシャルソング。らしいが音ゲー系のディズニー版くらいにしか、使われているという話は聞かない気がする。元々はディズニーのトリビュートアルバムでALFEEがやった「星に願いを」のカバーを米ディズニーが気に入ったことから話がきた。
大のドナルド好きの高見沢らしい。しかし、世界のディズニー用の曲のヴォーカルが高見沢で良かったかは謎。桜井ヴォーカルが良かったから来たオファーなのではないかという気がするのに。
音はもうコテコテのダンスミュージック。個人的にユーロビートは好きじゃないんだけど、まぁ、これはありだと思ってる。ドナルドの声をイメージしたらしき音がカワイイ。
ライヴのときはピンクの手袋とパラパラモドキがセット。これ、別にいいんだけどなんでピンクなんだろう? ドナルドなら水色か黄色だ。
8. From The past To The Future
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 坂崎
ALFEEの本質とも言える、アコースティックギターとコーラスで聞かせるノスタルジックな曲。
このタイプの曲のなかではトップといっても過言ではないくらい最高に好きな曲。この「From The Past To The Future」が入ってるだけでこのアルバムは価値がある。
メロディー・歌詞は最高だし、コーラスも生ギターも美しい。坂崎の透き通る声がとどめを刺す。裏声も色っぽい。
詞の内容は「DAYS GONE BY」(SINGLE『ROCKDOM』B面)を彷彿とさせる。もしもあの日に戻れたとしても 同じ道を辿ったことだろう
という詞がとても、とても良い。45歳という年季が説得力を持たせる。
9. The Way
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE with 井上 鑑
- メイン・ヴォーカル
- 桜井
桜井氏の正統派バラード。これも「Pride」の焼き直しっぽい。だったら「Pride」の方がいい。
桜井ヴォーカルのシングル曲が3つも入っているとはいえ、桜井氏がメインヴォーカルを取る新曲は今回コレだけ。
10. 希望の鐘が鳴る朝に
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 桜井
TBSのドラマ『サラリーマン金太郎』の主題歌。コレもシングル曲。鐘の音がプラスされている。
桜井氏の声はきれいだけど、曲自体はあんまし。Video Cripは結構良い。
bonus_1. A.D. 1999 (örb version)
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 高見沢
1982年、まだフォークグループだったALFEEがロックバンドへと変貌を遂げるターニングポイントとなった曲「A.D. 1999」(ALBUM『ALFEE』)のörb version。25周年、そして1999年リリースのこのアルバムに入れないわけにはいかないだろう。
アレンジは現在ライブで演奏されているヴァージョンに近い。
bonus_2. Moonlight Fairy (örb version)
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 高見沢
高見沢が音楽監督を努めたTVドラマ「サラリーマン金太郎」(1999年)のサントラに入っていた曲のサルベージ。ではあるが実際にドラマで使われていたインスト版の「Moonlight Fairy」とこのALFEE版の「Moonlight Fairy」とはかなり雰囲気が違う。
で、こちらは高見沢ラヴソング。私のあまり好きではない、高見沢の声を張り上げるタイプのバラード。得意の泣きギター。口移しでワイン
、何を思ってこんな詞を書いたのか。
bonus_3. Decadance (örb version)
- 作曲
- 高見沢 俊彦
- 作詞
- 高見沢 俊彦
- 編曲
- THE ALFEE
- メイン・ヴォーカル
- 坂崎
同じく「サラリーマン金太郎」サントラから。曲自体は明るい、ALFEEらしい坂崎ヴォーカル曲。雰囲気は「Crisis Game」(ALBUM『Nouvelle Vague』)的。
"Decadance" なんてタイトルのわりに明るいのが納得いかない。何一つdecadanceではない。
「サラリーマン金太郎」サントラ ver.と比べると、密かに最後の歌詞が変わっているのが興味深い。心境の変化だろうか。