Gehirn Web Servicesレビュー
前回当サイトがCORESERVER.JPからGehirnに移行した経緯について書いたが、今日はそれにつづいて実際に移行して使ってみてのファースト・インプレッションを書いてみようと思う。
契約プラン
私が契約したのは "ショート" という名の一番安価なプラン。安価と言っても上位プランとの相違点はサーバ容量とサーバ当たりの収容人数のみで、つかえる機能は全て上位プランと同一だ。ドメイン2つを突っ込んで同居させているが、どちらもwebサイトとメールサーバとしてしか使っていないので、3.5GBもあれば実際もう十分である (ちなみに、参考までに書いておくと当サイトのPVは月1万程度、単純な総ページ数は600ページ強)。
プラン名はスタバのサイズから取られているようで。ある意味わかりやすい。
コントロール・パネル
まず気に入ったのがコントロール・パネル。新しく組んだシステムだけあって非常にスッキリしている。モダンで洒落てるしなによりわかりやすくて良い。いくつかスクリーンショットを掲載しよう。
Gehirnのwebサービスを使う際はまずGehirn IDというのを取得する。コントロール・パネルにはこのIDでログインし、同IDでした複数の契約を一括管理することができる。支払いなどもここから。それぞれ個別のサービスの設定にもこのコントロール・パネルからアクセスする。
ログインしてすぐのページ。必要な機能がコンパクトにまとまっていて迷うことはない。発生した不具合や新機能の追加を伝えるGehrinからのお知らせもわかりやすい。
サーバ関連の設定画面。ページ上方に機能ごとのタブが並ぶ。ドメインごとの設定ページはセキュリティに関する機能が豊富だ。ボタン一発でON/OFFができる。ちゃんと各機能のコンパクトな機能の解説もついてる。
こちらはDNS設定ページ。DNSも項目別にフォーム形式で設定できるようになっていてわかりやすい。もちろんレコードをテキストデータとして書き出すこともできる。
操作や配置はコントロール・パネル全体で一貫している。正直uglyなUIを見るのは精神的に苦痛なので、公式サイトも含めこういったモダンなデザインだとストレスなく気持ちがいい。Twitter Bootstrap風のデザインでアクがなく操作しやすい。
速度
サーバ変更をした下心のひとつとして、もう少しこのサイトの表示スピードを早くできないかなっていうのがあった。とはいっても別に今までが支障を来すレベルの重さだったわけではなく、多分むしろどちらかというと速いほうだったので、この辺は完全に趣味です。以前のCoreserverでできることはやり尽くしたのでそれを超える部分でいいことないかな、と。
で、前稿で書いたようにCoreserverのスピードチューニングにおける不満はKeep-Aliveの設定ができないことで、一時候補にも挙がったさくらのレンタルサーバではPHPのモジュール起動ができないこと(これはKeep-Alive以上にタチが悪い)だったのでひとまずRS2はその基本要求は押さえたうえで、実際のパフォーマンスはどうなのさってところを軽く書こう。
ちなみに、このサイトはデータベース使ってないんでそれまわりは関係ありません。サイト自体もWordPressとかではなく自作の謎CMSとブログエンジンで組まれているので、あまり役には立たないかも。PHP5.3で書いててコンテンツはベタのHTMLファイルで管理している。
先に結論を書けば、満足している。上記のKeep-AliveとPHPモジュール起動に加え、メモリが64GBという意味不明なハイスペックぷりは伊達じゃない。
ちゃんとベンチを取ったわけではなく(さっさとcoreserver引き払っちゃったので。とっとけばよかった。)眉唾モノかもしれませんが、体感して速くなってるのを感じます。特に小さい画像が沢山あるようなページは読み込みが速い。ありがとうKeep-Alive。
Page Speedのパフォーマンスチェックも90点超えてるし、YSlow (Small Site or Blogモードで) もAとBでいいんじゃねぇのと思っている次第。参考までにトップページとブログの中でもわりと重たいページの結果を載せてみる。
まぁ御託は置いといて、実際に皆様がこのサイト閲覧して、速いと思ったら速いです。
今となっては、いや以前から、一番のネックはFacebookの Like! ボタンを含むSNS関連の連携なので、当サイトのチューニングはこれ以上はあきらめた。サービスを提供してる各社にがんばってもらう。
てことでスピード面は非常に満足している。謎のレベルのメモリ64GBもとても心強い。
セキュア
セキュリティまわりには全然明るくないのだが、このGehirnのサーバ管理者はもともとセキュリティ関連が専門とみえて、実際RS2のサーバにはセキュリティ関連の設定が多い。
セキュアな環境とセキュアじゃない環境だったら、当然前者にこしたことないわけで、このような趣味のサイトでもそれが明示的に言われているのは心強い。しかも、ちゃんとエンドユーザが使えるレベルに各種設定を用意してくれているのも良い。ポートごとのファイアーウォールもボタン一つで立てられるしメールの署名も簡単だ。実際の仕組みがよくわかっていないものでも、こうやって提供してくれていると利用ができる。
自動で撮られる15分おきのスナップショットも強力で、これならケアレスミスのカバーはもちろん大胆なチャレンジもしやすそうだ。
とにかく安心して身を委ねられる感じが良い。
使ってない機能
Gehirn Web Servicesを特徴付けるものは、リーズナブルな価格やセキュアな作りもあるが、なんといってもGeek向けに開かれた豊富な機能だろう。
とか書きながら今のところはほとんど試していない。ひとまずは使う要件がないからだ。なのでその辺のレビューは他の人に譲りたいのだが、でも気になってる/気に入っている点をいくつか挙げたい。
Z Shell
かなりこだわりを持って作り込まれたZ Shellが標準のシェルとして用意されている。コマンドライン作業をするときにこれは心強い。むしろステキ設定を拝借したいくらい。
WordPressの一発インストール
いまやブログのデファクトスタンダードといっても過言ではないWordPress。なんだかんだ言ってボタン一発は楽でいいよね。ヴォルフロでは使ってないけどWordPressで管理しているサイトも1つあるので、今後機会があったら是非使いたい。
SSHやFTPSの複数アカウント発行
SSHまで複数アカウントが発行できる低価格レンタルサーバはなかなかないのだが、複数人管理をするならSSHこそ個別に発行して欲しいものだ。gitサーバ立てたりなんかしちゃって、とか利用の幅がかなり広がるのではないかと夢想してみる。
RS2コマンド
RS2サーバには独自のRS2
コマンドというものが用意されていれ、これを用いれば一発でNode.jsやPHP Pearなどの環境をセットアップできる。Python3系とか気軽に入れられるのかな。
などなど。使う予定はないだけど楽しそうな機能は沢山あり夢が広がる。今後期が向いたときに色々トライしていきたい。
ターゲット・ユーザ
Gehirn RS2の主なターゲットユーザはそこそこコンピュータに精通したGeekな人たちで、サービス開始から間もない現在、いくつかネットでレビューを読んでも、目にとまるのはサーバの知識が豊富なβテスターのものが多い。
となると、普通のユーザは難しすぎてわけわかんないレベルなの? 扱えないから使うべきではないのか、というとそんなことないよ、ってのが私の結論。
とはいえ私の技術レベルをどこに位置づけるかは難しいところで、サーバ周りの知識はほとんどありませんが、簡単なスクリプト言語を扱いサイトを構築できる程度にはリテラシーもあるので、FC2とかのレンタルブログしか使ったことない人がいきなり契約して使えるかと言われるとなんとも言いがたい。ただ私くらいの人間が使っても何も困らず快適なレベルだということは言えるし、もっと基本的なことしかできなくてもおそらく大丈夫。
例えばレンタルサーバで普通にWordPressを使えるレベルの人ならば十分このGehirn RS2の恩恵に預かれるはず。むしろWordPressであれば一発インストール機能があるのでより簡単かもしれない。一般的な使い方も普通のレンタルサーバといたって一緒。できることの幅が広いくらいで、エントリーユーザの利用を妨げるものはあまりない。WordPressが使える、もしくはデータをアップロードするなんらかのFTPクライアント的なものが使えてwebページを作る能力があれば十分じゃないだろうか。
そのくらいのレベルでも、この安価な価格設定やわかりやすいコントロール・パネル、セキュアな設計、高スペックなサーバ等魅力は大きい。
ただ、デフォルトで連携するレジストラがないので、独自ドメインでサイトを運営したい人は、最初のその関連付けでちょっと苦労するかもしれない。あたらしくサイトを開くときもその辺がちょっとわかりづらいかな。またメール設定も、設定画面がそっけないのでもしかしたらわかりづらいかもしれない。
あと初心者のネックになってきうるところは、まだ立ち上がったばかりのサービスなので既存の情報が少ないである。トラブルに出会ったときに、webで検索しても先陣の解決者がその解決法を解説してくれている、ということがまだあまり期待できない。これは時が経つにつれて情報が増えることと思うが、現時点ではね。
黎明期のレンタルサーバ
Gehirn Web Servicesは先月産声を上げたばかりのサービスである。ユーザによるナレッジの蓄積がないのことや実績にかけることは欠点だが、今後の成長見込みは恐ろしく高い。現にサービス開始後も次々に新しい機能が投入されていて本当にワクワクさせられる。
設備が最新の物であろうことも新しいサービスの利点として挙げられるが、それよりもこのワクワク感はステキな体験で利用者を満足させてくれる。
Gehirn Web Serviceのデメリット
褒めてばっかりいても不公平なので、改めてGehirnのデメリットもまとめてみる。前述したことも含まれる。
- 非公式ドキュメントが少ない
- 立ち上がったばかりのサービスなので、まだユーザによるナレッジの蓄積が少ない。なにか問題が起こったときは解決に苦労するかもしれない。しかしギークユーザが多そうなのでそのうち増えてくると考えられる。
- レジストラサービスがない
- GehirnはレンタルサーバとDNSサービスはあるが、ドメインを管理するサービスはない。べつにValue-Domainでも問題はないのだが、2カ所にお金を払ったりするのは正直ちょっとめんどくさい。とくに他の人が支払いを管理をしているサイトに関しては支払先が結果的に2カ所に分散してしまうので移行しづらい。のでそのうちやってくれないかなぁと密かに思っている。
- webメール機能がない
- メーラで送受信するのでなくても困りはしないのだが、なにかがあったときに一応確実にブラウザからアクセスができる手段があると安心できる。ま、この辺も自分でインストールしろってことなのかな。
まとめ
ってことで、Gehirnのファーストインプレッションを書いてみた。もちろんとても気に入っている。
今回移行したの以外に管理しているサイトが2つあるので本当はそれらもこのGehirnに移行したいくらいなのだが、上に書いたようにレジストラが別に必要なので踏みとどまってる。どうしよっかなぁ。