ヴォルフロッシュ

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CD『instrumental music』/sunzriver

CD『instrumental music』/sunzriver

今、本当に面白い音楽が聞けるのはニコニコ動画だけだ。

と言ったらもちろん言い過ぎなんだけど、そんなことを書きたくなるような魅力がニコ動とVocaloid周辺にはある。ていうか実際現在iTunesに入ってる曲で2008年リリースのモノってほとんどVocaloid関連。最近のテクノポップ流行にもかかわらずperfumeにもPOLYSICSにも結局興味が持てず、もっとアクが強くガッツリした攻撃的テクノポップを求める私にとっては、素晴らしい受け皿なのであります。

ってことで、最近は80-90年初頭のJapanese New WaveとVocaloidばかり聞いています。

さて、Vocaloidといっても、つまりはただの楽器(もしくはソフトウェア)なので、それとは別のレイヤーでミュージシャンがいるわけです。コピーバンドみたいに生身の人間が歌っている既出曲のカヴァーを専門にやる人も多いのですが(これはこれで面白い)、主にニコニコ動画を舞台にVocaloidを用いたオリジナル曲を発表する人も多い(ちなみに、Vocaloid使いのミュージシャンはほとんどアマチュア)。そんななかで一際好きな人がすんzりヴぇr、もしくはsunzriverと名乗るこの人。今日のお題のCDの方です。オリジナルに関しては作詞作曲演奏アレンジ全て自身で行っている。最近ニコ動で発表したVocaloid曲をまとめたCDを出したので早速入手。早速というかもう1週間以上前から手元にあるし、そもそも曲はもっと前からDLできるようになっているので物質的なCDが届いたってだけなんだけど。

前置きが長いな。話のメインはそのすんzタンのCD『instrumental music』。手で掴めそうなむき出しの電子音が心地よすぎる。そしてそこにからまるシンセのような機械的なVocaloidのハモ。これはあつい。解凍P(-MODEL)の未来がここにある (?

特にいいなと思うのはイントロチューン「startup, ready for the music」、当時使いづらいと言われていた鏡音リン・レンの魅力を見事に引きだしたすんzタンの代表曲「ハイブリッド」、同じく「○○○○ット」シリーズの「ハヤリヒット」。あと個人的に好きなのはサビで3人がたたみかける「三月の窓」。五月の方ばっかり人気あるけど三月もいいんだぜ。うん、てか捨て曲ないなぁ。僧侶は好きなんでテーマもかわいい「黒く動く」もいいし(というかすんzタンの僧侶の使い方が好き)、「クリスマスですが何か?」はいい詞だなぁとか。人によっては耳が痛いと言い出す程ゴリゴリとアグレッシブな音使いをしながら、一方ポップさやメロウさも確実に保つのが氏の音楽の魅力だろう。

ニコ動を見ていて思うのは、Vocaloidを使う方向としてはなんとなく2方向あって、人間のヴォーカルのかわりに使うのと、Vocaloidとして、一つの音源として使うっての。前に流行った「メルト」なんてのはまさに前者。それはそれで否定はしないんだけど、この手のはいわゆる "歌ってみた" を通して初めて完成すると思うので、Vocaloid版はデモテープのようなモノ。Vocaloid音楽としてはなんの面白みもない。

一方、すんzタンは後者に属すると思っている。彼の楽曲はVocaloidだからこそできることをやっている。それはこのアルバムのタイトル "instrumental music" にも顕著に現れてると言える。ヴォーカルと電子音の間。最高に人工的で人情的だ。

今は流れ上Vocaloid使いのひとりみたいな書き方になってるけど、結局個ミュージシャンとして好きなだけなんだろうなぁ、と。ヲノサトルとか加藤和彦とかと並列な存在(それが証拠に、基本的にニコ動でDLした曲はiTunes内でNicovideoってジャンルでまとめてあるんだけど、すんzタンの曲はElectronicaの方に居る)

すんzタンの新曲の「逆さまレインボー」はね、正直言うとあんまり私の好みじゃないんだけどね、Popすぎて。しかし、ニコ動のVocaloidオリジナルまわりで一番注目している人であることは変わりない。

ところでこのCD、お金を取ってくれない。入手方法は本人からの通販なんだけど、メールで欲しい旨を送ると着払いでCDが送りつけられてくる。なので送料はもちろんこっちの負担なのだが、それだけ。実費さえも受け取ろうとしない。すごい配布モデルだ。

そもそもね、こういうモデルが成り立つってのが面白いってのもあるのよ。これで食おうと思うとまたまた色々な解決すべき課題があるんだろうけど、別に食わなくてもいい。で、クオリティーの高いものが出せて、ユーザが自由に(無料にという意味ではなく)聞ける環境がある。さらにそれでも作品を提供する人がいる。そもそもweb上でもう全部無料で公開してるのに、さらに物質としてCDを出すとか。なんだろう、うん、面白い。色々とそれらが成り立つのが。第三のインディーズ?

ニコ動とVocaloid周辺の現象は書きたいことがまだ山ほどあるんだけど、まぁそれはまた今度。

ちなみに、このCD『instrumental music』の中身はweb上で全部聞けます。名盤ですよ。

sunzriver氏サイト

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